ノミ・ダニ
ノミ寄生により起こる病気
- ノミアレルギー性皮膚炎
- ノミの吸血により、その唾液成分が体内に入ることでアレルギー反応が起こり、激しいかゆみや湿疹、脱毛を伴う皮膚炎を起します。
- 瓜実条虫(サナダムシ)の媒介
- 瓜実条虫はノミが媒介することにより犬や猫の小腸に寄生する腸内寄生虫です。
便や肛門周囲に片節という瓜の実に似た寄生虫の小片が付着して発見されます。瓜実条虫を駆虫するには、腸内の寄生虫の駆虫と供にノミの」駆虫が不可欠です。 - 猫ひっかき病
- 「バルトネラヘンセレー」 という菌によって起こる病気で、感染した猫からノミにより他の猫に媒介されます。
感染した猫に人がひっかかれたり、咬まれたりすると、リンパ節の腫脹や発熱を起します。 - 飼い主のノミアレルギー性皮膚炎
- 犬や猫のノミが飼い主も吸血し、人のノミアレルギー性皮膚炎を起すこともあります。
マダニにより起こる病気
- 犬バベシア症
- バベシア原虫という赤血球に寄生、破壊する寄生虫を媒介し、貧血、発熱、黄疸などを起します。
駆虫が困難な寄生虫です。 - 猫ヘモバルトネラ症
- 猫の赤血球の表面に寄生する原虫です。赤血球を破壊して貧血、発熱などを起します。
ノミ、マダニが媒介します。 - 貧血
- マダニの大量寄生の吸血により貧血を起すこともあります。
ノミ・マダニの予防・駆虫
- スポットタイプの駆除薬
- 犬や猫の首筋(肩甲骨の間)の皮膚に液を染み込ませるタイプのものです。
1ヵ月に1回投与することにより持続的にノミ・マダニを駆虫、予防できます。安全で効果が高く投与しやすいので広く使われています。
すでにノミやマダニが寄生していても48時間以内に駆除できます。ノミの卵の孵化を阻止する成分が加わったタイプもあります。 - スプレータイプ
- 犬や猫の体にスプレーを散布するタイプです。
スポットタイプに比べて投与に時間がかかるのと動物が動くと投与しにくいことがあります。すでにノミ・マダニが寄生している場合の駆虫には即効性があります。
また犬や猫を多く飼っている場合にはスプレータイプは経済的です。 - ノミ取り首輪
駆虫薬の成分の付いた首輪で約3ヶ月ノミやマダニを予防します。
- 内服薬・猫の注射薬
- ノミの卵の孵化を阻止する薬です。
犬や猫に飲ませたり注射することによりノミが吸血した後卵を産んでも孵化できなくする薬です。
ノミを生活環境からなくすことにより事前に予防できます。
犬・猫の年齢、性格、生活環境、などによりどの予防薬を選択するかをご相談下さい。
皮膚形成外科
生後約2ヶ月の雌の子猫が右後肢の挫傷で来院しました。多分交通事故と思われますが皮膚が大きく欠損し、表面はひどく汚染しています。このような大きく欠損した傷でもウエットガーゼによる組織の再水和療法でほとんど完全に修復出来ます。
まず汚染した傷を消毒水で洗浄します。
傷口にガーゼを巻き、滅菌生食水(場合によっては、抗生剤を混合します。)でガーゼを浸します。
油紙を巻いて水分が逃げないようにして、粘着包帯やテープで覆います。
傷が汚染して壊死組織がある場合は、1日2回以上ガーゼ交換を行います。
治療8日目:壊死組織が除去されてきれいな肉芽組織になってきました。
治療14日目:皮膚が修復してきて傷が小さくなってきています。
治療21日目:欠損範囲がさらに小さくなりました。 皮膚部分に被毛が生えてきました。
治療25日目:あと少し!
治療29日目:傷がすっかり修復して治癒しました。
この方法は、ガーゼに滅菌生食水を浸み込ませ壊死組織が自然に除去されるようにするとともに、傷の表面を皮膚で覆われているのと同じ環境に保ち修復肉芽組織やコラーゲン細胞の再生を助け、動物の自然治癒力を最大限に生かす方法です。
滅菌生食水だけでなく、場合によっては抗生物質軟膏・壊死組織除去軟膏・保湿軟膏・コラーゲン軟膏などを組み合わせて使用する場合もあります。
大きく欠損した傷も驚くほどきれいに修復できます。
欠点は、時間と手間がかかることです。
毎日2回(最低でも1回)は欠かさずガーゼ交換が必要です。
傷の大きさにもよりますが1ヶ月~2ヶ月くらい修復にかかる場合もあります。特に老齢動物は、より時間がかかる傾向があります。
時間と手間がかかってもきれいな傷の修復を望まれる方には良い方法です。
※皮膚の保護のため覆ってありますが、元気に走り回るようになりました!
治療50日目:健康検診の為、来院しました。
被毛も生えそろって、傷跡も無くなりました。